お陰様で三十五年目

会社帰りに
馴染みの和菓子屋さんへ寄った

遅い時間だったが
幸運にも
葛まんじゅうが
2つ残っていた

季節の上生菓子
麩まんじゅう
栗ぜんざい羹
などなど
甘い誘惑の坩堝だ

欲望を抑えつつ
お供え菓子いくつか買ったところ

梶芽衣子似のおかみが

「6月が開店記念日で
 お赤飯を配っているんですよ」

と言って
1000円ちょっとしか買っていないのに
赤飯をおまけにつけてくれた

帰宅して早速開けてみると

「お陰様で三十五年目」
のしがかかっていた
ご主人の手書きであろう

南天の葉は
もちろん本物だ

そして
赤飯のお味は
さすがの美味しさであった

三十五年…

ふと
私も社会人というものになって
三十五年目
ということに氣づいた

お陰様で…

いったい誰に向かって言うのだろうか

両親や家族
お世話になった短大の先生方
仕事を教えてくれた社長や先輩方
苦楽を共にした仲間たち…

忘れてはならないのは

クレームつけたり
ダメだし続けたり
締め切り間際に変更言って
私を鍛えてくれた
愛すべきお客様なのだろう

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