魔法使いの抹茶シフォン

食堂の魔法使いが
今日は抹茶シフォンケーキを焼いて来たらしい

甘いうわさはたちまち広まる

午前のお茶休憩に
ちょっとフライングして行ってみたが

すでに
王様と数人が
悪ガキのように
頬張っていた

少し時間をはずして
再度行った時には
あと数切れになっていた。

遅れて
AYA姫が入ってきた

「問題が解けないと食べられないよ」

魔法使いがもったいぶって言う

「私の車のナンバーは4桁の最大素数だが
 それはxの2乗+yの2乗の数式になる
 xとyを答えよ」

姫は、ホワイトボードに書きながら
しばらく考えていたが

「こんなのとけません!」とのたまひ

「クリームがとけちゃう♪」
と、おもむろに一切れつまみあげ
生クリームをたっぷり塗り始めた。

魔法使いは
ズレたメガネから
姫を上目遣いに見上げて
ふっと笑った。

彼は60歳を過ぎ
Youtubeを観て目覚めた
“Sweets男子” である。

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