腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)

6月11日〜15日頃は
七十二候のひとつ
『腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)』
ホタルが光りだす時季だ

ホタルは別名『朽草(くちくさ)』
ともいうらしい

4月のある雨の夜。
ホタルの幼虫が
つぎつぎと水から上がってくる。
シャクトリムシのような動きで
光りながら濡れた地面を進む。

柔らかな土の窪みを見つけて
もぐり込み、
自分が動けるだけの部屋を作る。
部屋の壁は、
体から滲み出る液体で
まゆのような感じに固める
この部屋で約40日間を過ごして
サナギとなり
10日目の夜、羽化がはじまる

成虫となったホタルは
そのまま3日間ほど部屋で過ごし
土を必死にかき分けて地上に出ていく。
晴れた日が続いて土が固まると、
出られないまま土に還ることも・・・。

地上に出ると、
近くの草の上でしばし休み
そして
光りながら仲間のいる水辺の方へ
飛び立っていく。

暗い静かな夜に、
土の中からあらわれて光りだす虫。
昔の人は草の化身だと思ったのだろうか。

<参考>
『ホタルの不思議』大場信義(どうぶつ社)
『ホタル 光のひみつ』栗林慧(あかね書房)

追伸

梅雨入り前にして
雨が少ないこの頃
地中のホタルを想い
雨を祈る